ステンドグラス デザイン用ソフトウェア

「GlassEye2000」の紹介

ページ作成日 2004/4/9
最終更新日 2010/2/1

 

GlassEye2000 ってどんなソフトウェア? 

 GlassEye2000は、米国のDragonfly Software社から発売されている、パソコンを使ってステンドグラスのデザインをするためのソフトウェアです。 このソフトではパターンを描いたり、使う色やガラスを選んだり、出来たパターンの印刷を行うことができます。

どういう点が便利なの? 

 手書きでパターンを製図した場合、 用意した原図の素材(アイディアスケッチ、本に載ってるパターン、写真、etc.)を方眼紙に書き写すのはなかなか大変な作業です。型紙を作るにもカーボ ン紙やトレーシングペーパーを使って手間がかかったり、色決めも頭の中でイメージするけど全体までイメージしきれなかったりします。また、せっかく過去に 製図した図面や型紙も痛んでいたり、失くしてしまったりで、同じのを作るならまた製図し直した方が・・・ なんてことがあります。これらの点もこのソフトを使えば、多くの部分を改善することができます。 製図したりカーボン紙を使ったりしなくても、ただプリンターで印刷すればいいんですからね!

GlassEye2000ってどうやって使うの? 

 使い方や特徴については、百聞は一見にしかず。まずは実際の作例を順を追って見ていきましょう! 作例を見ていけば、おおよその使い方が分かると同時に、どんな点が便利かも自ずと見えてくるかと思います。

 それでは早速GlassEye2000での作例を見ていきましょう。今回はサンタクロースのおやすみランプを作ってみます(^_^)b

(※ちなみに私個人とGlassEye2000、Dragonfly Software社とは何等関係ありません。)

↓画像をクリックすると拡大表示します

〜ステップ1 原図の画像ファイルを用意する〜

まずは原図を用意します。 今回は紙に手書きで原図を描いてみました。

GlassEyeを使う場合でも、イラストのような作品なら原図は手書きが楽ですね。 幾何学的な模様の作品であれば、いきなりステップ4の描画から始めてもOKです!

原図を用意したら、これをPCへ取り込みます。取り込みの精度を求めるならスキャナーですが、 今回はおおまかで構わないのでお手軽なデジカメで撮影して取り込みました。 デジカメだと簡単ですね(^o^)v ペンタブレットとお絵描きソフトを使ってもOKです!
(GlassEyeは、JPEGやBMPなどいろいろなファイル形式に対応しています。)

   

 

〜ステップ2 GlassEye2000を起動する〜

原図の画像ファイルができたら、早速GlassEye2000を起動してみましょう。

   

 

〜ステップ3 原図の読み込み〜

このソフトには背景に画像を読み込む機能「Import Background」というのがあります。 これを使って作業画面の背景にステップ1で作った画像ファイルを読み込みます。 

読み込むときに、背景のどの位置に?どれくらいの大きさで?という位置と拡大・縮小の設定ができるので、ここで背景画像の表示位置と大きさの調整をします。

   

 

〜ステップ4 背景に合わせて描画する〜

GlassEyeでの描画は、主にマウスをぽちぽちクリックして、点を打って描いていきます。 点を打つと、その前に打った点とが線で結ばれていきます。 線の最後でダブルクリックするとそこが一つの線の終端となります。

ここではひたすらぽちぽちクリックしていきましょう! 「角ばった線にしたいのになめらかなカーブになってしまう!!どうすればいいの!」と、 思うようにいかないことも最初は出てきます。 ここはぐっとこらえて、GlassEyeのホームページの「Tutorial」のコーナーで解決法を調べましょう。 

※私の場合は、「Tutorial」の全ページを印刷して1冊のファイルにしました。Tutorialは、Web上のTutorialページの他に、ダウンロード用にHTMLファイルとPDFが提供されています。

   

 

〜ステップ5 描画の完成〜

およそ原図通りに描画できました。カットが難しいピースがないかざっと確認!

   

 

〜ステップ6 原図を消去する〜

描画が終わったので背景に読み込んでいた原図はもう不要です。背景画像の表示/非表示切り替えボタンを押して、非表示に切り替えます。

背 景画像を一時的に非表示にして見えなくするのではなく、完全に除去する場合には、「Remove Background」の機能を実行します。Removeした場合には、ファイルサイズをその分だけ小さくできるメリットがあります。ただし一旦 Removeすると、Importしたときの読み込み位置とサイズの設定値はクリアされてしまいます。したがって、もしRemoveする場合はその前に、 再度背景を読み込む可能性を考慮して、これらの設定値と背景画像のファイル名をメモ(※)して残しておくと良いでしょう。

(※)メニューにある「Properties」に、作品に対するコメントを記載することができます。ここに設定値等を記載しておくと良いでしょう。

   

 

〜ステップ7 ガラス選び〜

画面左側に表示されているカラーパレットからどのガラスを使うか選択し、描画した各ピースの上でクリックするとその色で塗りつぶされます。 こうして各ピースで使うガラスを試行錯誤しながら決めていきます。

カラーパレットにガラスを登録する方法は、GlassEyeのエディション(版)(Standard/Professional)により異なっています。Standard Editionではガラスのテクスチャー(SeedyやRippleなど)と色を自分で調整してカラーパレットに登録していきます。Professional Editionでは実在の各メーカーのガラスのデータを持っており、その中から型番を選択して登録できます。

   

 

〜ステップ8 デザイン完成〜

ガラス選びが終われば、デザインはこれで完成です!各ピースの番号は、自動で振られていきます。

   

 

〜ステップ9 型紙作成〜

デザインが完成したら、次は型紙作成です。

今回はcopper foilの作品で、1mm幅のパターンカット用のはさみ(パターンシェアーズ)を使うので、描画の線幅を1mmに設定します。

型紙に色は不要なので、色の表示/非表示切り替えボタンを押して、非表示にします。

   

 

〜ステップ10 型紙印刷〜

今回は、型紙に使う用紙を直接プリンターにセットして印刷してしまいます!型紙に直接印刷すれば、カーボン紙やトレーシングペーパーを使って型紙に書き写す必要はありません! もちろん普通の薄い用紙に印刷したものとカーボン紙などを使って型紙を作ることもできます。

線幅1mmで型紙にパターンが印刷されているので、後は線幅に合わせてはさみでカットすれば、出来上がり!!

はさみでカットするときも、これまではカーボン紙で写した細い線の上を、はさみの1mm幅の中心にくるように、はさみを真正面から見て確認しながら切ったりして目がとても疲れました。けど今回は1mm幅で印刷されているので、真正面から確認しなくても大丈夫です(ToT)ウレシナミダ

※プリンターで使える最大用紙サイズよりも大きなデザインの場合は、複数枚の用紙に分割して出力されます(備考:1枚の用紙に縮小印刷する機能もあります)。 この場合、境界部分のピースは分断されてしまうので、直接型紙に印刷する場合には、ちょっとしたコツが必要ですよ!(->秘技ずらして印刷!)

※もしステンドグラス用途にプリンターの導入を検討する場合は、A3用紙が印刷できる大きめなプリンターが便利かと思います。

   

 

〜おまけ1 完成図確認〜

各ピースに振られた番号の表示/非表示もボタン1つで可能です。出来上がりをイメージするには、番号は非表示の方が分かりやすいですね。

   

 

〜おまけ2 lead came(鉛線)の場合〜

lead cameの場合に線幅はどうするかというと、左下図のようにFaceとHeartのそれぞれのサイズを設定して表示することができます。 Face幅の表示ができることにより、作品が完成したときにFaceがどれだけガラスを隠すかも予め画面上で確認することができます。Faceだけとか、 Heartだけの表示や印刷も可能なので、型紙作成やガラスカットを始めたときに下に敷いて作業するための原図など、用途に応じて使い分けましょう!

このFaceとHeart幅の設定は、lead cameの場合だけでなく、実はcopper foilの場合にも役立ちます。copper foilの場合にも、FaceとHeart同様の幅の違いがあります。なのでこのFaceとHeartの設定を利用することにより、copper foilの場合でも、完成したときに銅薄テープがどれだけガラスを隠し、どれくらいガラスが見えているかを予め確認しながらデザインすることが可能なのです!copper foilの場合は、かなり小さいピースもあったりするので、「作ってみたらガラス面がほとんどテープに隠れて見えなくなっちゃった!」ということを防げます。

 

その他の作例 

 以下はGlassEye2000を使って作成した他のおやすみランプです。GlassEye2000での描画時におよそイメージしていたものとほぼ同様の作品が出来上がりました。 (クリスマスツリーの真ん中に使ってる青ガラスの種類、デザインなど、製作時に多少変更した箇所があります。)

クリスマスツリーのおやすみランプ

【ひとこと】 ガラスが重なり合った部分は1枚のパターン図だけでは全部の型紙を作れないので、型紙作成用にもう1枚パターン図をおこして作成しました。

おやすみランプ

【ひ とこと】 赤・青・黄の原色のガラスを使用して旧世紀のオールドファッションな色あいのランプを作りたくてデザインしました。当初の意向からずれて加えた 緑とオレンジのガラスが“オールドファッション”らしさを壊してしまいました。またGlassEye2000で色替えをしたいランプです。

おやすみランプ

【ひ とこと】 先のランプの色違いバージョンです。青いランプを作りたくて手持ちの青系のガラスをGlassEyeで組み合わせてみました。GlassEye では描画できない部分として、稜線部分に取り付けた真鍮ワイヤーをよじったものがあります。このようなソフトウェアで描画できない部分は、 GlassEyeのメニューにある「Properties」にコメントとして記載しておくとよいでしょう。

パネル  「ゴッホのひまわり」  (copper foil, 30x42cm)

【ひとこと】 12枚描かれたというゴッホのひまわりのうち、バブル期の1987年に日本人が高額で落札し て話題となったひまわりを原図として使用しました。現在、東京新宿に展示されているこの作品は1888年に描かれたもので、原画のサイズは 76.5x100.5cmあります。GlassEyeを使用したおかげで、15本のひまわりの配置も原画そのままに再現することが可能でした。

今回使用したゴッホのひまわり原図は↓の損保ジャパン美術館のサイトで見ることができます
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/gogh/002.html

 

その他の機能 

 作例をご覧頂きましたが、どんなソフトなのか、どの辺が便利そうか、 というのはおおよそお分かりいただけたでしょうか? この作例で紹介出来なかった機能をいくつか以下に紹介します。

Auto Trace(オート・トレース)

 背景画像として読み込んだ画像を、自動でGlassEyeの描画データに変換してくれる機能です。 今回の作例でいえば、ステップ3で読み込んだ画像がいきなりステップ5の描画が終わった状態なってしまう機能です。 

(ただし、今回のように鉛筆で書いた分かりにくい線の画像からだと変換は難しいかと思います。 この場合は、画像処理ソフトを使って2値化や余計な部分の削除などの前処理する必要があります。)

Lamp Wizard(ランプ・ウィザード)

 何面で何段のランプにするか、外形をどうするか等を指定すれば、段重ねランプの展開図を作成してくれる機能です。

 

GlassEye2000の製品について 

 GlassEye2000には4つのエディションがあり、値段も違います。 安いエディションには機能制限がかかって使えない機能があり、一番高いエディションではフル機能使えるのに加えてプロッター対応など新たな機能が追加されています。4つのエディションを簡単に説明すると・・・

Standard Edition

$150

趣味用途にはこのエディションでとりあえずこと足ります。 使う色を実在ガラスのデータの中から選択できない制限が加わっているのが難点です。 また、配色を変更するとピース番号も変わってしまうので、注意が必要です。 (ちなみに私が使っているのはこのEditionです。)

"Auto Trace"と"Lamp Wizard"の機能は使用できません。

Professional Edition

$295

実在ガラスのデータからガラスを選択できるので、趣味用途でもお金に余裕があればこちらも良いでしょう。Standard Editionの機能制限を考えると、業務用途の場合はこのEditionか必要に応じてPlusをお薦めします。

"Lamp Wizard"が使用できます。"Auto Trace"は使用できません。

Professional Plus Edition

$450

 

業務用途で、これまで使ってきた図案を"Auto Trace"を使ってデータ化しておきたい。データ入力の手間を省いて作業の効率化を図りたいなど、"Auto Trace"の機能を必要とする場合はこのエディションとなります。

"Lamp Wizard"と"Auto Trace"の両機能使用できます。

Enterprise Edition

$1295

Professional Plus Editionの機能がすべて使えます。普通の机上プリンターではA3サイズ程度までしか印刷できませんが、より大きな紙に印刷できるようにプロッターや、加えてカッターといった機器にも対応しています。

 4つのエディションの機能の違いの詳細は、Dragonfly Software社のサイトのhttp://www.dfly.com/comparison.htmlに記載されています。

 Standard Editionでは、"Auto Trace"と"Lamp Wizard"の機能は制限がかかっていますが、この制限とは“実行は可能であるが、実行してしまうと以降の描画やセーブ(保存)ができない”というもの です。したがってStandard Editionでも、"Auto Trace"がどの程度使いものになる機能なのか、"Lamp Wizard"がどういうものかは、実際に実行して機能を確認することが可能です。

 "Auto Trace"は実行結果を保存できないと意味ありませんが、"Lamp Wizard"の実行結果が画面に表示されてしまっているので、・・・・ですね(^^ゞ

 より上位のエディションへのアップグレードも、差額をいくらか割増した価格で可能となっています。(料金詳細は、http://www.dfly.com/help/faq6.html 参照) 例えばStandard EditionからProfessional Editionへのアップグレード価格は$159 で、実際の差額$145 と割増分が$14 となっています。

 また、GlassEye2000の最新Versionは3.1(2007年2月10日現在)です。これより古いVersionをご使用の場合は、無償または有償にて最新版にアップグレード可能です。私が使ってるStandard EditionはVersion2.0だったのですが、無償でVersion3.1にできました。

 

GlassEye2000を使い始めるには・・・ 

 まずはGlassEyeのホームページに、Standard Editionと同等の機能の無料のお試し版(Trial Edition)が置いてあるので、それをダウンロードして実際に動かしてみましょう。 Trial Editionはインストールしてから30日間使用可能です。 30日間はあっという間に過ぎてしまうので、入力する図案を決めてからインストールすると良いかもしれません。 もし図案が思い浮かばなければ、これまでに作成したパターンを試しに入力してみてはいかがでしょう。

おしまいに・・・ 

 GlassEyeは使い出すととても便利なソフトです。しかし使い始めはなかなか思うような線が描けず、どうやったらいいかも分からず、面倒で投げ出したくなるかもしれません。 描画で疑問な点はほとんどTutorialを読めば解決するので、 投げ出したい気持ちをぐっとこらえてコーヒーでも飲みながらTutorialを眺めていけばきっと使えるようになります。 このページをきっかけに使えるようになって頂ければ、 嬉しく思うのと同時に、このページを作ったかいがでてくるというものです ね(^-^)v

作品製作・本文/中西 功
E-mail : rikapy@gmail.com

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